横浜市教委が育鵬社の歴史・公民教科書採択

 国旗国歌、領土問題記述の充実度重視

2011.8.4 14:11 日刊紙

 横浜市教育委員会は4日、市立中学校149校で来春から使う歴史と公民の教科書について「日本教育再生機構」のメンバーらが執筆した育鵬社の教科書を採択した。同市は今回から全市共通の一括採択に移行。4年間で10万人以上の生徒が使う全国最多の採択地区だけに影響が大きく、歴史観を巡り複数の団体が育鵬社教科書の採択、不採択を求めて運動して関心が高まっていた。

 この日の審議は公開で行われ、歴史、公民の審議はそれぞれ約30分にわたり行われた。教科書内容を評価する市教科書取扱審議会の答申を受けて、委員6人の記名投票で、歴史、公民ともに4人が育鵬社を選び、2人が別の発行会社の教科書に投票した。

 歴史では、委員から改正教育基本法の趣旨を踏まえ「日本の文化に誇りを持つことが大切だ」などの意見が出た。

 公民では、戦力の不保持を規定した憲法9条と自衛隊の関係や国旗国歌、領土問題の記述の充実度を重視する意見が目立った。「東アジア情勢が緊迫している中で自国のまわりがどうなっているのか知るべきだ」との意見もあった。

 横浜市教委は前回の平成21年の採択で、従来の自虐教科書を批判する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが中心になり執筆した自由社の歴史教科書を、全国の公立校で初めて18区中8区で採択し注目を集めた。今回の全市1区採択により、育鵬社の歴史と公民の教科書は横浜市だけでそれぞれ全国の需要全体の2%程度を占める見通しだ。

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